「基本的人格」って(5)~「自立と自律」

「基本的人格」は、つまるところ「個人」の問題であり、その「個人」という考え方も、

近代の欧米の考え方であることがお分かりいただけたと思う。つまり、「個人」というとらえ方は、人類史においては、18世紀以降のとらえ方でしかないということだ。つまり、歴史貫通的「概念」ではなかった。

ところで「個人」に付随した観念の中に、かなり広く言われている言葉として「自立・自律」がある。

「個人」が、近代社会のとらえ方である以上、「自立・自律」も同じである。

私は、「自立・自律」とよく言葉として使っている人のことをあまり信用していない。

その人の「人間性」がどうのこうのというよりも、「自立・自律」という考え方には、すべての課題を「個人」に還元してしまう傾向にあるからだ。しかも、例えば「自立」と言っても、何からの自立なのかかなり曖昧だし、実際、そのようなことは、もしかすると「観念」の中でしかないのかもしれないからだ。

ある医療者は言った。「自立する」ことは「孤立する」ことにつながると。

私もそう思っている。

それより「助け合う、支えあう」という関係性が求められてゆくのではないのかと。

                                   (ささ爺)

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